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ペルソナQを遊んで頂いている皆さんへ

皆さんこんにちは。ペルソナチームの橋野です。この「ペルソナQ」はペルソナチームが初めて作る「ニンテンドー3DS」向けのRPGです。ゲームシステムのベースは同じアトラスで根強いファンに支えられている「SQ(世界樹の迷宮)」のものですが、全てを最初からチームで作りました。お祭り的コラボレーション作品として最初で最後のつもりで企画しましたが、制作に至っては、SQチームをはじめ、いろんな方々にご協力頂きました。そして今、無事に発売が出来たことは、日頃からの皆さんのご支援の賜物でもあります。チームを代表して御礼を申し上げます。

 僕は本作ではプロデュースを担当しておりますが、開発中は当たり前に起こる右往左往に加え、両作品をコンバートしなければならない命題で担当スタッフが苦しみながらも、見つけた課題をなんとか乗り切ってくれて、ようやく皆さんのお手元に届けることが出来ました。この場を借りてチームスタッフを労いたいと思います。あとは皆さんに喜んでもらえるかどうかです。皆さんが想像していた通りに、ゲームプレイを楽しんでもらっているといいのですが。クリアまでかなりの時間がかかると思いますが、どうか…そこはご愛嬌ということで、ゆっくり、じっくりと楽しんでもらえたら嬉しいです。

 ところで、本体同梱版をご購入頂いた方もいらっしゃると思いますが、この「ベルベットモデル」はチームでデザインを行いました。チームにとっては初めての同梱ということで、僕の方でディレクションをさせて頂き、p3、p4、p5でも一緒に組んでいるGUIデザイナーさんと、ゲーム開発時と同様のやり取りで作業をさせてもらいました。ゲーム内容については紹介記事やインタビューなどで語られる機会が多いですが、本体同梱版については語る機会がなかったので、この場を借りて「ベルベットモデル」の拘りのポイントの紹介をさせてもらおうかと思います。(もし興味があれば、お付き合いください)

 同梱版のデザインは、並べたアイデアの中から3DS LL本体を「ペルソナ全書」に見立てることからスタートしました。筐体自体のデザインにマッチしつつ、皆さんが手にした時に「ペルソナらしい」意味のあるアイテムに感じられるデザインに出来れば、きっと喜んでもらえるんじゃないかという想いからです。3DS LLは、見やすい「大型の画面」故に、筐体の平面も大きくて、やや「のっぺりした印象」を個人的に感じていたので、まずは大きな表カバーに「メリハリ」を出す為、2色の青のチェックで密度が感じられるように工夫しました(グラデが使えればスムーズに立体感を出せたのですが単色の制限があり工夫が必要でした)。その上で「ペルソナ全書」らしい「鍵型のモチーフ」を四隅に配置して、平面の大きな印象を和らげています。表面の上段には「ペルソナ(仮面)」と「小アルカナ(4種)」をあしらった「五芒星(護符です)」を。下段にはベタですが「心の魔術書」という意味のグリモワールの文字列。更に副題として、僕がクリエイティブの標語としてチーム内で使用しているフレーズである「be personal for change(人の個性とは世界を変える為にある)」の仏語訳を入れてあります。

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 この標語には思い入れがあって、数年前にアトラスという会社が一旦無くなり(今はおかげさまで復活しています)、意気消沈する中で「個性的といってもらえることが多いアトラスの個性というのは、社会のどんな役に立つのだろう、貢献になるのだろう?」…と、その居場所について思い悩んだことがあって、そのとき「人の個性はもしかすると…その影響力が他者に伝播し、良かれ悪かれ、その他者(相手)の考え方や振る舞いを変えてしまえる力のことなのかもしれない」と思い至りました。だからこそ、世界に閉塞感とかいうものを感じることがあったとしたら、この世界が人同士の関係で成り立っている限り、人の個性とか集団の持つ個性というものは、閉塞への絶望を打破する「力」にもなり得ると。そう捉えるだけでも、誰もが持ち得る「人の個性(クセ)」には、きっと絶対的な「価値」があるはず。これが、冴えない頭で辿りついた僕なりの結論でした。幸いにも多くのチームスタッフが共感してくれたので、この気持ちだけは忘れないようにと創作のキャッチフレーズにさせてもらったのです。ペルソナの作品性にも通じるこの価値観を、これからの作品作りの大切なテーマの1つとして扱っていきたいという願いも込めて…ここに刻ませてもらっております(…なんとも大げさで恥ずかしながら)。

 一方、背面には物語で活躍するキャラクター達の大集合・群像をはめ込んでもらいました。ペルソナ全書に見立てた筐体表のカバーデザインは格好は良いのですが、それだけだと渋すぎて「ペルソナQ」に持たせているポップな世界観を表現しにくいと思ったからです。そして印刷時の発色にも拘り、メタリックを使った高級感を狙うことで、デフォルメされたペルソナQの「可愛らしいキャラクターたち」が並びつつも「ペルソナQ」の作品コンセプトである「見た目は可愛らしいけれどゲームプレイは本格的な最新作として引き締まっている」という印象になるようにバランスを整えています。製作中は製造上のいろいろな制約があることもわかって、最初に決めたラフのイメージにもっていくのにかなり苦労してしまったのですが、最終的には発色も含めて良い感じに仕上がったんじゃないかと思っています。…と、自分でもびっくりする程、長いご紹介になってしまいましたが、ご購入を頂けた方が気に入ってくれていたら嬉しいです。

 最後に。この「ペルソナQ」は、この春に復活した「株式会社アトラス」からの第一弾のソフトになります。もし「ペルソナQ」をこれまでと変わらぬアトラスの1作品として楽しんで頂けたなら、とても嬉しく思います。ご購入頂いた皆さんには、重ね重ねになりますが最大限の感謝を。皆さんに心から楽しんで頂ける作品作りを今後も目指して参りますので、宜しくお願いします。

 ではでは。

株式会社アトラス・ペルソナチーム
ディレクター&プロデューサー
橋野桂

ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス

対応機種:ニンテンドー3DS
ジャンル:RPG
リリース:2014年6月5日
CERO:CERO B

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